これは、『事故物件 怖い間取り』(映画)の感想文です。
Amazon Prime Video でレンタルできたので観てみました。
ネタバレが含まれますので、気にする方は本稿の閲覧をお控えくださいますようお願いします。
数えていないので正確な数は分からないですが、ホラー映画だけで200本は観てると思います。
その中で、私が怖いと思ったホラー映画は以下です。
- ノロイ
- ダークネス(ジャウマ・バラゲロ監督2003年)
- ブレアウィッチ2
好きな映画は繰り返し観るので、今では慣れてしまいましたが…。
殺人鬼やクリーチャーが出て来るものは、私の中では「オモシロ怪獣映画」に分類されます。
「貞子」と「伽椰子」もそちらに分類してます。
子供の頃は何でもかんでも怖かったんですが、ホラーに慣れてしまったのか、年取ったせいなのか、鈍感になりました。
今もホラー映画はちょこちょこ観ますが、怖いと感じるものはないです。
最近は、急に大きな音で驚かせたり、やたら痛そうなもの、アイデアはいいけど怖さに繋がっていないものしかない印象です。
まとめると以下の2点に集約されます。
1. 正体が分からないこと。
2. 現実感があること。
怖さの根本は正体が分からないところにあると思います。
ウィルスが発見されたのは19世紀、細菌が発見されたのは17世紀ですが、200年くらい前までは、風邪や細菌が引き起こす病気の原因は分かっていませんでした。
分からないままにしておくと、怖くて不安で仕方がなくて気が狂ってしまう人が多かったようで、ヨーロッパの人たちは病気を悪魔のせいにしました。
悪魔もなんだかよく分からないものですが、「悪魔のせい」にできるようになったことで、恐怖や不安な感情をぶつける対象になったんですね。
それが存在するかしないかはどうでも良くて、たとえ空想上のものでも敵対する相手を創り出すことで、じゃあ、悪魔を退治しよう、悪魔から逃げるにはどうすれば良いのか…という方向に意識が向きます。
意識が別のものに向いている間、怖さや不安はやわらぐので、何も分からないままにしておくよりはマシということで、宗教的な背景もあって定着したのかなと。
日本にも幽霊や妖怪がいますが、なんだかよく分からないものを別のものに例えて対処するという点で、共通しているので、人類に共通する心理なんでしょう。
何が言いたかったと言うと、怖いものは正体が分かった時点で怖くないということです。
分からないままにしておく方が、より不安を煽ることができます。
ホラーは謎を残して終わることが許されるジャンルなので、「怖がらせたいなら正体を明かすな!」というのが私の考えです。
それが、少数派だということも知っています。
ホラーと呼ばれるオモシロ怪獣映画しかないのがその証明です。
「もしかしたらあるかも?」と思わせるような現実感のある表現や演出の方が怖いです。
ヒトの感情が何らかの形で残ったり、物理現象を起こしたり、心身に影響を与える…といった超レアな現象はあると思っているので、心霊、悪い魔女、悪魔憑き、呪いを題材にしたものは問題ないです。
ただ、実際に体験したことがないので、見せ方が大袈裟だと「ないわー」となります。
幽霊を見る原因は以下の4つかなーと勝手に思っています。
- 電磁波などの外的要因で脳がバグる
- ヒステリー、思い込み、病気などの内的要因で脳がバグる
- 見間違い
- 今の科学では観測方法すら分かっていない未知の現象
1. ~ 3. が 99.9% だと思ってるので、幽霊見た話を聞いたときは、まず 1. ~ 3. を疑います。
怪談話が好きで良く聴くので、原作者の松原たにし氏のことは、事故物件の企画がスタートした当初からチェックしていました。
「需要はあったけど、誰もやらなかった企画がやっと始まった!」と興奮したのを覚えています。
事故物件公示サイト「大島てる」管理人と絡む番組も好きで、YouTube の無料放送分だけ欠かさず観ています。
お二人の相性が良いので、毎回楽しく視聴してます。
原作の怖い間取りは、映画を観た後に買って読みました。
大抵は原作の方が面白くて、たまに原作を超えてくる映画があるんですが、この映画がどうだったのか?は、次の感想で書きます。
前置きが長くなりましたが、映画の感想を簡単に書くとこんな感じになります。
・ティーン向けの演出、中年のおっさんには過剰でコメディに見える。
・ヒロインは主人公の足引っ張っただけなので、二人がくっついても主人公が幸せになる未来が見えない。
怖がらせたいシーンは、怖いというより違和感がありすぎて笑うか、白けるかのどちらかでした。
感受性の強い子供さんや、雰囲気だけで怖くなっちゃう人は怖いと思います。
事故物件は割と身近にあるので、不可解な現象がいつ自分の身に起きてもおかしくない…という怖さをどう伝えるか?というところが重要で、それは製作スタッフの腕の見せどころになるわけですが、大袈裟な演出や演技をするとリアリティーが失われ、ファンタジー化してしまい、怖さがなくなります。
リアリティーを実感させるのに、こんなにうってつけの題材はないと思うのですが、何故このような表現にしたのか?は、単純にターゲットが中年のおっさんではないからだと思います。
私がそのターゲット層に入っていなかったので楽しめなかった…いや、別の意味で楽しめましたが(笑)
最後に個別に気になった点を挙げて終わりにします。
こんなシーンがあります。
主人公 「後ろに赤い服の女いるだろ?」
主人公の相方「え?どこ?」
主人公 「後ろ!」
主人公の相方「赤い服の女?あーおるでー」
オイラ (ふつーに幽霊見えちゃったよwww)
(霊能力ヒロイン用なしになっちゃったwww)
ヒロインの立ち位置って、主人公たちには見えないものが見えるところだと思ってたんですが…。
ヒロインの目を通して、見えないはずのものを映像に出すことができる。
そうやって観客の恐怖心を煽るための存在だと思うので、ヒロイン以外は普通に見えちゃダメでしょって思いました。
クライマックスの幽霊の怨念パワーMAX状態なら、誰でも見えちゃう状態になったとしても、まだ分かりますが、このシーン序盤ですし…。
松原たにし氏が不動産屋から事故物件を紹介してもらえるようになるまでのエピソードが面白いので、そこを使わなかったのが勿体ないないなーと思いました。
そのエピソードは原作にも書かれておらず、何かの番組で原作者本人が話していたのを覚えています。
(YouTube でその動画を探して見たのですが見つからなかったので、勘違いだったらごめんなさい🙇)
映画は原作に近いです。
主人公 「事故物件…あります?」
不動産屋「事故…物件…?」
客たち (主人公に注目)
オイラ (そりゃあ、そういう反応になるよねー)
不動産屋「あ、じゃあ担当者呼びますねっ」
オイラ (ファッ!? 担当者いんのかよw 都合良すぎwww)
(最初の反応はなんなの???)
(担当者いるってことは想定済みってことでしょ?)
不動産屋に行って「事故物件あります?」とド直球で聞いたと原作に書かれているので、その部分を映画でも使ったようです。
事故物件担当の不動産屋は赤い服を着たおばちゃんなのですが、その赤い服を見て主人公が驚きます。
その前のシーンで赤い服の女幽霊を見ていたから…という理由のようですが…うーん…。
「いや、何の関係があるの?」って思いました。
赤い服着てる女性はみんな幽霊と関係あるんかい!…と。
事故物件担当の不動産屋の存在も謎です。
初対面で事故物件ほいほい出してくる不動産屋っていますかね?
事故物件なんて不動産屋の利益少ない上にクレーム付くリスク高いですよね?
普通、不動産屋は事故物件は出したがらないです。
知られると家賃下げなきゃいけないので、大家は隠そうとします。
どの不動産屋にも事故物件専門の担当者がいる…みたいな話になってますが、リアリティーに欠けるので白けました。
私は以前、知り合いの不動産屋に「事故物件あったら紹介して。」と頼んだことがあります。
何か月もかかって、ようやく独居老人が孤独死した部屋の資料をもらえました。
不動産屋でも見つけるのは大変ですし、色々リスク高いので出したがりません。
客に紹介したところで、借りる人はまずいませんし(ごくまれにいるっぽい)。
※2021/08/04追記
事故物件専門の不動産屋が存在するそうです
あと、実家のマンションは何人も飛び降り自殺しているので、普通に事故物件です。
大島てるにも掲載されてます。
生まれてから20年以上、子供時代はマンションを隅から隅まで探索してましたし、飛び降りた方が救急車で搬送されるまで見送ったこともあります(飛び降りる瞬間は目撃できなかった)。
そんな場所ですが、幽霊騒ぎもないですし、私自身、怪談話に出て来るような体験は一度もしていません。
まー、ほんと、がっかりするくらい何もないですw
洗面台の前の壁に取り付けられている鏡からニュッと腕が出て来て、ヒロインの頭を押さえつけ、水を張った洗面台に顔を沈められるシーンがあります。
洗面台って素手で簡単に割れますから、必死にもがいたら普通に割れます。
暴れたら水が飛び散って減っちゃうから溺死するの無理でしょ!と映画を観ながら冷静に突っ込んでました。
浴槽なら分かります(原作では浴槽に沈められたと書かれています)。
で、鏡から出て来た腕って誰の腕?
殺された母親?殺した息子?
息子って死んだの?
死んだとしても、ヒロインを襲う意味は?
なんでわざわざ鏡から腕出すなんてまわりくどいことするん?
と、ひとつも意味が分からず、頭の中が大混乱。
母親が息子に殺される回想シーンがあるのですが、息子から酷い暴力を受け
「もう堪忍なー許してやー」
と懇願していた母親ですが、何故か都合よく水を張られていた洗面台に顔突っ込まれた瞬間に豹変。
「この親不孝が!絶対祟ってやる!」
みたいなことを水の中でモガモガと言い出す。
あまりの豹変っぷりが爆笑トリガーになり、違和感しかないこの一連の流れで大爆笑。
感想文を書いていたら、「演出下手すぎだろ!」と怒りがわいてきましたw
結果だけ追っていくと、主人公の邪魔しかしていません。
この映画のラスボスはヒロインです。
そんなヒロインと主人公がいい感じになっちゃうのも都合が良すぎてシラけます。
最後の事故物件はずっと笑いながら見てましたw
押し入れのふすまを勢いよくバタン!と開けて、包丁片手に飛び出してくる女幽霊
→ 主人公に襲いかかるのかと思ったら、主人公を完全スルーw
天井裏から顔をのぞかせてひたすら変顔する眼鏡のおっさん
→ これ屋根裏に住んでるただのおっさんじゃないの?
主人公の布団でひたすら悶えるオジーチャン
→ 上の二人がインパクトありすぎて、最初気づかなったし。
あれ?このジーチャンどこから来た?と思って、戻って確認しちゃいましたからねw
冷蔵庫の中でアイス食ってるデブ
→ もはや幽霊かどうかも定かではないw
ラスボスっぽい幽霊が登場したと思ったら、変顔百面相でにらめっこ攻撃。
クライマックスはコメディに徹していて潔かったです。
おもいっきり笑わせてもらいました。
いやあ、ほんと映画館で観なくて良かったですよ、爆笑しましたからw
クライマックスって、怖い要素あります?
グロテスクすぎるので、モザイク入れて欲しかった。
グロシーンが2回あるのでご注意を。
松原たにし氏が「あのイケメンの亀梨くんが、根暗な自分に寄せて来た。自分でも意識してなかった癖を見抜いて演技に取り入れていたのも、すごい。」みたいな話をしておられたので、「どんなもんかな?」と興味がありました。
まあ、はい…。
亀梨くんは別次元の存在ですが、松原たにし氏はわりと男前な部類ではないかと…。